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エステー株式会社 | ペットケア領域の新規事業創出を支援

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「日用品メーカーからウェルネス・カンパニーへ」というビジョンを掲げ、消臭・防虫といった日用品の枠を超えた、より豊かで健康的な暮らしの実現に取り組むエステー株式会社。同社が新たな挑戦として取り組んでいるのが、ペットケア領域における新規事業です。新しい事業領域において、スピード感と実行力をもって事業を具体化するため、事業構想や市場調査、体制構築といった包括的な新規事業創出をseeinkが支援させていただきました。

今回はエステー株式会社の戦略投資室で室長を務める今井 久士様と、本プロジェクトを主導したseeink代表の日比野による対談を通じ、事業の立ち上げに至る背景や課題、共創によって得られた成果について振り返りました。

目的
  1. 新たな企業ビジョンに基づき、ペットケア領域で新規事業を立ち上げる
  2. 外部の知見と行動力を取り入れることで、ゼロからの事業立ち上げを加速させる
  3. 収益性に加え、他部署や経営全体への刺激となるモデルケースを確立する
課題
  1. 新規事業の立ち上げに必要な知見や実績が社内に蓄積されていなかった
  2. 多くの関係者を巻き込む必要があり、スピードが出にくい構造だった
  3. 新規事業に対する熱量を共有できるパートナーを求めていた
効果
  1. 複数社を巻き込んだ共創体制を構築し、プロジェクトに実行力がもたらされた
  2. ゼロからスタートした事業構想を、短期間で具体的な事業の形が見える状態に
  3. 社内からポジティブな反応が得られ、社内の新規事業機運の醸成につながった

収益性とカルチャー醸成を両立した新規事業を目指す、エステー社の挑戦とは

エステー株式会社 戦略投資室 室長 今井 久士様

日比野:エステー社における戦略投資室の役割についてお聞かせください。

今井 久士様(以下、敬称略):部署名の通り、M&Aやベンチャー投資を主軸にしつつも、単に投資で終わるのではなく、社内に対して「新しい事業の立ち上げはこうやるんだ」とモデルケースを示す役割も担っていると考えています。新規事業で利益を挙げていくことは大前提ですが、社内の新規事業カルチャーを育成し事業の可能性を広げていくことも大事なミッションです。
弊社は消臭剤や防虫剤など、空気や香りに関連する商品展開に強みがあり、おかげさまでビジネスの土台も安定しています。その一方で既存事業に思考が偏りがちで、新しいことを始める土壌が整っているとは言えません。人口の減少でゆるやかに国内市場がシュリンクしていく中で、新規事業への取り組みは重要であると考えています。

日比野:新規事業の難しさのひとつに、経営層と現場で「新規事業」に対する定義がズレがちであることが挙げられます。例えば、既存事業のドメインとはドラスティックに違う事業でも、既存事業から少しマーケットを変えた事業でも、同じ「新規事業」と呼ばれます。このズレが、新規事業への評価軸、ひいては投資や撤退といった重要な判断の揺らぎに繋がることは珍しくありません。今井様は「新規事業」の定義について、どのように考えていますか?

今井:「自社がまだやっていない事業」が新規事業ですが、それは何でも良いということではなく、企業のビジョン実現に資するものであるべきだと考えます。新たに取り組みたい事業がビジョンに繋がっているかを判断軸にすれば、ずれることはないと考えます。
その上で、投資や撤退の判断は、経済合理性に基づいて判断されるべきだと考えています。
上場企業として株主価値の最大化を意識したとき、収益性のない新規事業は説得力を持ちません。社会問題の解決を目的にする新規事業の考え方もあるとは思いますが、企業の未来像に沿って利益を生み出す新規事業の開発に、私は情熱を感じます。

ウェルネス・カンパニーを目指すエステー社が挑む、ペットケア領域の新規事業とは

seeink株式会社 CEO 日比野 由空

日比野:ペットケア領域の新規事業立ち上げに至るまで、どのような経緯があったのでしょうか?

今井:2022年に自社で猫用システムトイレ事業が立ち上がったのですが、さらなる事業拡大に悩んでいました。2024年に花王株式会社の猫用システムトイレ「ニャンとも清潔トイレ」の製造・販売事業を譲受することになり、さらに、ペットケア領域におけるビジネスを拡大するために、新規事業を模索し始めたのが、今回の取り組みの出発点です。

日比野:エステー社がペットケア領域に取り組む目的や意義について、どのようにお考えですか?

今井:まずペット市場全体が成長していることが大前提にあり、「日用品メーカーからウェルネス・カンパニーへ」という弊社のビジョンに合致した事業展開として「ペットとの共生によるウェルネスの実現」に着目しました。実際に2024年5月に開示した中期経営計画にも「ペットケア事業を主力事業へ育成」すると明記しており、その文脈の中に今回の新規事業が位置づけられています。
また私自身、ペットと一緒に過ごす時間が長かったので、世話の負担を軽減するソリューションには強いニーズがあると確信していました。

日比野:私自身も犬が好きで、その実体験からも、エステー社の人とペットが健康的に共生できるウェルネスの実現には共感できますし、現在の取り組みがターゲットとする領域に可能性と価値を感じました。その一方で新規事業の立ち上げに際し、どのような課題があったのでしょうか?

今井:既存領域の新商品開発についてのノウハウはあるものの、新しい分野における事業を立ち上げるノウハウが社内に蓄積されておらず、また対応する人的リソースも不足していたことが最大の課題です。また課題として、社内の調整事項が多く、意思決定のスピードが落ちることも挙げられます。
こうした背景から、新規事業の立ち上げ経験が豊富であり、スピーディかつ柔軟な発想から新規事業を支援してもらえるパートナーを求めていました。

新規事業に必要なのは、信頼と熱量。エステー社が新規事業パートナーにseeinkを選んだ理由

日比野:新規事業パートナーの選定では、最終的に2~3社まで絞り込まれたと聞いています。複数社を比較検討する中で、どのような要素を重視していましたか?

今井:さまざまな要件がある中で最も大事だったのが「一緒にやりたい」と思えるかどうかでした。私にとって仕事の時間は人生の大事な一部、いや人生そのものです。だからこそ、私の大事な人生で一緒に仕事をしたいと思える人、楽しく話せる人、信頼できる人と働くことは大事だと考えています。
もちろん各社からの提案資料やディスカッションの内容についても吟味しましたが、seeink社のご提案からは仮説検証の設計や思考の緻密さが伝わってきました。また、代表である日比野さんのお話からは課題に向き合う真摯な姿勢と、検証プロセスの一貫性を感じましたし、なにより新規事業を形作るまでの思考が整理されているなと感じたことを覚えています。

日比野:ありがとうございます!ご提案のクオリティはもちろんのこと、一緒に新規事業に取り組ませていただく上で大事だと考えていたのが「熱量」です。私自身、これまで200件以上の新規事業立ち上げを支援してきましたが、新規事業が失敗する最大の要因は「諦めること」だと考えています。どんなにロジカルに構築しても、壁にぶつかったときに乗り越える力がなければ終わってしまうのです。
逆に熱意さえあれば、失敗しても再挑戦できます。つまり、新規事業は「絶対外さない成功」を目指すものではなく、失敗しても継続すること、ピボットし続けることがカギであり、その原動力である「熱意」をご提案に盛り込んでいます。そして、単なる発注者と受注者の関係以上の一緒に走り抜けるパートナーであることをお伝えしました。
より具体的なご提案内容としては、新規事業開発における「外してはいけないポイント」を確実に押さえた構成を意識しています。今回の案件では、事業としてのユーザー課題、マーケット規模、実現可能性、仮説の立て方などに加えて、社内における根回しや、役員報告のタイミングといった調整の設計も重視しています。

市場調査から仮説検証、仲間集めまで。一次情報に基づく調査と体制構築が成否のカギに

日比野:新規事業創出支援の取り組みでは、特殊なスキームを採用しました。投資部門である今井様の立場を活かしつつ、意思決定のスピードを確保することができました。

今井:本格的に動き出してからはまず市場調査からスタートしています。「ターゲットとするアイテムに関する市場はそもそも存在するのか?」という問いから仮説を立て、競合他社が参入していない背景調査や海外市場の動向も並行して進めていただきました。

日比野:市場調査では、一次情報を取りに行くために中堅・大手のペット用品メーカーに5社ほど話を聞き、さらに動物病院やペットユーザーにも7〜10件ほどヒアリング調査を重ねました。加えて、事業コンセプトがニーズに合致するかどうかの検証にアンケート調査を実施しています。
現場の課題感やニーズの具体性は、やはり一次情報からでなければ見えてきません。定性・定量の両面から丁寧に情報を集め、データで見えてこない肌感や文脈を把握することが、事業の本質を捉える上で不可欠だと考えています。
その次のフェーズでは具体的な事業計画の構築に移行しました。事業の具体性が高まる過程で、特に印象に残った出来事はありますか?

今井:新規事業の立ち上げに伴い、企業との連携が加速度的に広がっていきましたよね。当初は弊社とseeink社の2社でしたが、3社、4社と仲間が増え、それぞれが知見を持ち寄ることで事業の実現可能性が格段に高まりました。しかも、単なる委託や受託の関係にとどまらず、各社それぞれが「自分ごと」として取り組んでおり、新規事業を共創する仲間になってくれたのが強く印象に残っています。

日比野:私たちもプロジェクトでは必ず、自社から経験豊富な役員をプロジェクトオーナーやPMとして関与させる体制をとっています。新規事業の質は、誰が関わるかで大きく変わるものです。今回のプロジェクトでも継続して質を担保し、熱量を維持できたのは当初から体制づくりを意識していたことが大きいと感じています。

ゼロからの挑戦で実現した加速度的な成長。成功の要因は「熱量」と「量をこなすこと」

日比野:弊社との新規事業創出支援の取り組みで、どのような成果を得ることができましたか?

今井:事業の青写真すらない状態から始めたプロジェクトが、たった1年足らずで複数企業を巻き込むまでの体制に育ち、そしてプロトタイプが出来上がるまで進められたこと自体、かなり早いペースだと考えています。このスピード感と体制の実現は、大きな成果だと捉えています。
これが社内のリソースだけの取り組みであれば、ここまでの状態にたどり着くのはおそらく無理だったでしょう。ここまでこだわり抜いて調査するという視点や行動量は、社内だけでは実現できなかったと感じています。

日比野:評価いただいたスピード感を弊社が実現できたのは「量をこなすこと」を意識していたからです。たとえば製造のパートナー企業を探す際にも、20社近くに問い合わせをし、6社と面談し、具体的な話が進みそうな会社にはすぐに現地まで足を運ぶことを地道に繰り返しました。泥臭いかもしれませんが、数を打つからこそ質に変わると信じていることが、私たちの強みだと考えています。社内からはどのような評価がありましたか?

今井:社長を含め、何名かの経営陣に報告しており、「面白い取り組みだね」とポジティブな反応がありました。社内からの期待や好奇心は確実に感じています。
そして私個人の評価として、日比野さんとの取り組み自体が非常に大きな成果だと思っています。事業の進行以外でも信頼して相談できる関係を築くことができ、また一緒に仕事をしたいと思える存在に出会えたというのは、個人的にも価値のあることだと感じています。

新規事業は信頼できるプロと共に。関係者全員の成功を目指す共創のプロジェクト

日比野:現在進行系のプロジェクトではありますが、現時点での今後の展望についてお聞かせください。

今井:遅くとも2026年にはローンチまで持っていきたいですね。そのためには、現在取り組んでいる要件の詰めが大変なフェーズなので、まずは一緒に乗り越えることが直近のテーマです。

長期的な展望としては、今回のプロジェクトに携わった全員がしっかり「儲かること」、そして全員で美味しいお酒を飲んで笑い合いたいですね。関わった人たちとの関係性は、弊社にとっての財産であり、今後の推進力になると確信しています。

日比野:弊社に期待することをお聞かせください。

今井:seeink社は「これをやってください」と依頼するよりも先に気づいたら全部やってくれるパートナーでした。製造パートナーを探していたときも、「20社に問い合わせた結果がこちらです」と、いつの間にか報告がポンと上がってきました。今後も引き続き、泥臭い動きをお願いしたいですね。

日比野:最後に、新規事業に悩みを抱えている企業へアドバイスをお願いします。

今井:新規事業を本気で立ち上げたいなら、迷わずプロを雇ったほうがいいと思います。セミナーに行くより、経験者と組むほうが圧倒的に早いですし、結果が出ます。新規事業の進め方が分からないと悩んでいる時間があるなら、行動できる人を探して入れるべきです。それが今回のプロジェクトを経験した私からのアドバイスです。

日比野:ありがとうございました。